東京家庭裁判所 昭和48年(家)12017号 審判 1973年10月12日
申立人 水原茂子(仮名)
相手方 水原淳(仮名)
主文
相手方は申立人に対し婚姻費用(申立人および双方間の長男幸男、長女美代の生活費、養育費を含む)の分担として一ヶ月金六万円を昭和四八年一〇月より本件終局審判確定にいたるまで毎月末日限り申立人方に送金して支払え。
理由
一 申立人と相手方は昭和三四年二月二八日婚姻し、双方間に長男幸男(昭和四〇年六月一〇日生)、長女美代(昭和四二年五月三一日生)が出生したこと、
二 しかるに、相手方の暴力等が主原因となつて、申立人は右長男、長女を連れて実妹上坂ひろ子(六畳一間、台所のアパート、なお七一歳の実母も同居中)に寄寓し、自らは気管支炎その他病弱の体で治療中のために働けず、右実妹の援助、あるいは隣人、友人からの借金等によつて、かろうじてその母子の生活を維持していること、申立人の申立にかかる当庁昭和四八年(家イ)第五二〇四号夫婦関係調整事件においても緊急措置として当庁参調会福祉部から申立人に対し昭和四八年九月二六日金一万五、〇〇〇円の貸付をせざるを得なかつたこと、
三 相手方は国鉄職員として月収手取金一〇万円位を得て国鉄官舎に独りぐらしの生活をしていること、
四 婚姻費用分担事件については家事審判規則四六条九五条を類推適用して審判前の仮の処分をなし得ると解するのが相当であること、
よつて、相手方に対し審判前の臨時の処分として申立人および長男幸男、長女美代の生活費、養育費を含む婚姻費用分担として一ヶ月金六万円の支払を命ずることとし、主文のとおり審判する。
(家事審判官 渡瀬勲)